Friday, January 19, 2018

梅が枝餅に故郷福岡をおもふ

松の内も終わり、まだ寒いとはいえ、日本では梅の開花がもうすぐだと、毎日梅の枝を見ながら、梅の蕾が膨らむように温かい春への希望を膨らませていることでしょう。

先日、私の故郷、福岡で雪が降りました。対馬海流のおかげで福岡の冬は暖かいので雪が降ることはほとんどありませんが、寒くなり、降ったのです。その頃、高校時代の後輩が大宰府名物、梅が枝餅を作っていました。見てるだけで喉から手が出るほどです。。

寒い時に作りたてのあつあつの梅が枝餅に熱いお茶が一番!

ちょうど、その頃、別に珍しいことではありませんが、シカゴでも雪が降る氷点下摂氏14度の日でした。。。まあ、福岡ではいくら寒い日になるといってもマイナス二桁になることは、氷河期の到来でもないかぎり、有り得ないでしょう。。

寒いシカゴで雪が降る中、故郷の後輩が作った梅が枝餅の写真をFacebookで見て故郷に心を馳せ、梅が枝餅を懐かしく思いつつ感じたことを今でも覚えている博多弁で綴ってみました。。

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故郷、黒田五十二万石の福岡の高校時代の後輩が大宰府天満宮に因んだ名物である梅が枝餅ば作っとった。なかなかうまそう! 近所だったら彼女んとこへおじゃまさせてもらってご馳走に預かれとったのに。。。

梅が枝餅、太宰府天満宮、といえば、学問の神様とされる菅原道真公が祀られているところたい。福岡市の中心地、天神から西鉄電車で30分弱で行けるとよ(二日市で乗り換え)。7世紀の白村江の戦の教訓によって、博多湾沿いの元寇防塁よりも遥か前に造られた水城の跡を超えれば、都府楼跡。そして、太宰府天満宮はそこから目と鼻の先。松田聖子の故郷やブリジストンの本拠地である久留米まで行けば行き過ぎたい。二日市まで戻りんしゃい。

ご存知のように菅原道真といえばもともとは京の都の偉い役人やったばってんが藤原勢力の陰謀によって福岡の大宰府へ“左遷”されたと。道真公、梅ばとても愛しとったけん、伝説によると、梅の木も京都から大宰府へと道真公ば追っかけて“飛んで”来たと言われとうとたい。やけん、大宰府天満宮の境内にある梅のことを“飛梅”って言うと。まあ、福岡や京都の人、それに、梅で有名な北野天満宮のある大阪の人、は知っとうばってん。。。

彼女が梅が枝餅ば作りよった頃、福岡でも珍しく雪が降っとった。そして、その頃、シカゴでは当たり前のように降っとった。寒か~。そげん時は、あつあつの梅が枝餅に熱いお茶が一番たい。

梅が枝餅、梅が枝。。。雪。。。。

で、思いつくとが、万葉集にある作者不明のこの歌ばい。。


“梅が枝に 鳴きて移ろふ鶯の 羽白袴(はねしろたえ)に 沫雪ぞ降る。 


たかが沫雪 (淡雪)とはいえども、梅の枝を移り飛ぶ鶯の羽ば白袴の如く白くしてしまう程やけん、お雪の力ば侮れんってことたい。

シカゴには梅の木も、鶯も、それに、勿論、梅が枝餅もなかばってん、いや、寧ろ、そうやけん、こげな歌でシカゴの雪と福岡の雪とを結び付けて、福岡で雪が降っとった時に後輩が作った梅が枝餅、そして、それで思い出す子供の頃、太宰府天満宮に参拝した時に食べた梅が枝餅のことば思い出すと。

因みに、万葉集の頃の奈良時代ではこの歌は冬の歌とされたらしかばってん、古今和歌集の平安時代あたりから雪といっても冬の堅めの雪と、春めいてきた時の柔らかいふわふわした雪を歌においても識別し始めるようになったらしかとばい。当時はまだ沫雪を冬の季語とすべきという派と、春の季語とすべきという派、がおったけん、よ~はっきりせんかったらしか。ばってん、新古今和歌集が編まれた鎌倉時代には、沫雪ば春の季語とする派のほうが優勢となりつつあったらしか。やけん、江戸時代に各努支考が、“沫雪”は春の季語と定べし、としたとたい。

沫雪という言葉は、平安以降、とりわけ、江戸時代以後の今からみれば、“うたたかに”とけやすい雪、つまり、春の雪、名ごり雪のような春の雪、といったニュアンスが強かけど、やっぱ、この歌ばつくった人は万葉時代の人やけん、沫雪ば春の季語としたか冬の季語としたか定かじゃなか。それに、梅が枝だけでは、花が咲いているのか、それともまだ花がさいていない冬のくそ寒か時か定かやなかし。。ばってん、鶯は一般的には春の季語とすることば考えれば、やっぱ、春とすべしやろか?

もう梅の花も散って鶯を見かけるようになり、だんだん温かくなってきたとに、鶯の羽ば白袴の如く染めるほど雪が降ったことに驚いたけんこげな歌詠んだとかいな? 奈良のお水とりの前やろか、それとも、後やろか?

春めいてきたな~、って思っとったばってん、沫雪とはいえど、鶯の羽先を白袴のように染めてしまうほど降れば、やっぱ、ため息つくばい。

鶯の梅が枝見ては心躍れど、鶯の羽先ば白袴の如く染めるほど降るならば、沫雪とはいえど、春まだ遠しかな。。。といった感じやね。


ま~、そげんことはどうでもよか。みきちゃ~ん、あんたの梅が枝餅ば食べたか~!

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