Tuesday, December 30, 2014

日本の受験英語のご利益 -大学合格から日本人としての国際レベルでの英語



受験生の皆さん、新しい年を迎えるにあたり、そろそろ決戦の時ですね。
ベストで望んでいますか?

受験シーズンを間近に控え、ちょっと受験英語について書いてみます。

自慢じゃありませんが、3浪もしたんで、受験については"プロ”級です。しかも、日本の受験勉強に”精通”した後、日本の志望校に入学することはできませんでしたが、TOEFLという英語運用能力のテストとアメリカ人が大学や大学院進学において受験するテストを受けて、アメリカの大学、更に、大学院へと進み、その余韻で、ずっとアメリカで心理、神学のプロとして英語を使いながら飯を食べ、その他に、教育コンサルタントとして、アメリカ人だけでなく、日本人駐在員のご子弟の日本の大学や高校への進学に関する相談などもやっております。こうしたユニークな経験を基にした私の受験英語に関する意見が皆さんにとっていい参考になればと思います。

さて、よく日本の受験英語は実用的でない、と言う人がいますが、そういった批判に一理あっても、その裏には、落とし穴があることを先ず認識しておいてください。

確かに、英文和訳や和文英訳の割合が高い典型的な日本の受験英語は有名私立文系の英語の入試問題やTOEFLにあるような”同時通訳方式”で即座に読解していくパラダイムと違い、実用性がないと文句をいう人が多いですね。しかし、実際、大学のゼミや大学院で外書購読やったり、アメリカの大学でも英文学や哲学、神学、それに、心理学などの専門書をじっくり読まねばならない場合、当然、全体的にどのようなことを言っているのかということを即座に把握することが前提で、難解な文章についてじっくりと一つ一つ丁寧に論理的に検証していくことが要求されます。例えば、シェークスピアの作品のこの部分の解釈について議論したり、アウグツチヌスやアキナスなどの神学や哲学書は英語を西洋人にとっても非常に難解であり、面白い小説のようにすらすらと読みこなせるものではありません。だから、じっくりと腰をすえて丁寧に、しかも、勘違いしないように読み込んでいかねばなりません。心理学においても、とくにユングのように、抽象的な概念について込み入った文章で長々と書いているようなものを正確に把握するには、やはり、日本の受験英語のテクニックが非常に役に立ちます。私自身の経験から、やはり、駿台の伊藤和夫先生による”東大英語読解講座”という、構文という概念で難解な英文を”解剖学的”に分析し、各構文の部分とのつながりを有機的に捉え、より的確に英文解釈をしていく最高のテクニックです。

私は志望校であった某国立大医学部には入れませんでしたが、紆余曲折の末、この伊藤先生のテクニックのおかげで、アメリカの大学、大学院で学んでいた時、アメリカ人にとっても難しい、哲学や神学の難解な書物をもうまくこなし、それらの内容を味わいながら、読解力が物を言うリポートやクラスディスカッションなどでも結構いい成績を修めることができました。このテクニックのおかげで、クラスディスカッションにおいて、充分に課題の難解な書物を読み込んでいない”知ったかぶり”で議論しているアメリカ人学生の盲点を見抜き、鋭く批判することもできました。こういった高度なレベルで英語を使いこなすには、やはり、充分に構文を分析しながら解釈できる、高度な受験英語のテクニックが要求されるのです。ただ、ペラペラと英語がしゃべれ、聞き取れるだけでは、太刀打ちできません。

まず、同時通訳式の手順で、全体像をすばやくつかみます。しかし、それだけでは、難解な文章などを的確に把握できません。これでは、大学や大学院で難解な書物を読みこなす上で、いい成績が修められません。そこで、全体像を掴む時に気付いたちょっと難解なところ、ややこしいところを日本の受験英語のテクニックにある構文に注目した英文解釈のやり方(特に、伊藤和夫先生のやり方)で丁寧に絞り込むと、受験英語で培った成果が、国内であれ海外であれ、大学や大学院での勉強や研究によりいい成果をもたらします。
だから、受験生の皆さん、受験勉強の仕上げにおいて、巷のつまらない”受験英語はだめだ”といったデマに翻弄されず、同時通訳式に英文を速読即解できる力を養うことと並行して、従来の受験英語テクニックの中心である構文に注目した英文解釈や和文英訳の力を涵養する努力も怠らないようにしてください。

英文解釈や和文英訳に重点を置いた従来の日本の受験英語や英語教育は実用性がない、という議論は間違っています。確かに、国際レベルで通用する英語を使いこなすには、まず、同時通訳に要求されるような、英語を英語として読み、聞き、その内容を即座に把握することが不可欠です。流暢になれるに越したことがありません。このことが、従来の日本の英語教育や受験英語に欠けていました。ところが、そうだからといって、日本の英語教育や受験英語において長年重視されてきた英文解釈や和文英訳をおろそかにしてしまうと、難解な英文をより的確、正確に理解できないようになってしまうかもしれません。そうなると、批判的思考力も退化してしまいかねません。

同時通訳式にすばやく内容を把握するテクニックは、全体像をつかむ上で最高です。しかし、全体像の中にある細かな部分、特に、込み入った内容のそういった部分をより的確に、誤解のないように理解する上では、やはり、日本の英語教育や受験英語にある、構文に注目して解釈していくテクニックが要求されます。こういった丁寧な構文に注目した解釈は、大学や大学院における学究活動の中心です。

より深く、味わいながら、的確に理解する上では、速読即解テクニックは単なる必要条件でしかなく、十分条件ではありません。よって、この必要条件を補強するのが、従来の英語教育や受験英語の中核である構文に注目した英文解釈や和文英訳のパラダイムです。この二つのパラダイムで英語の勉強をしていくと、国内であれ海外であれ受験英語を超えた実用英語が大学院レベル、そして、更に高度な研究や仕事などの実用に、国際レベルで役立ちます。

しかも、日本語と英語、双方の構文に注意しながら解釈、翻訳していく日本の英語教育や受験英語にあるテクニックは、国際レベルと日本人として日本独特の文化などを英語でより的確に伝える上で非常に重宝しますよ。なぜならば、こうした受験英語で試されるテクニックには日英の文化的考え方のギャップを比較文化的に埋めていくテクニックでもあるからです。

西洋人にとっても非常に難解な哲学書や神学書を日本人にもわかりやすいように説明したり、万葉集などにある日本の和歌や源氏物語などの日本の精神を反映したものをいかにわかりやすく西洋人に伝えるか、しかも、”男らいよ”にある寅さんを中心とした非常に日本人的な”空気”を西洋人にうまく伝えるには、やはり、日本人にしかできないやり方で英語に接していく必要があるのです。それには、やはりどうしても、従来の英語教育と受験英語にある構文に焦点を当てた英文解釈と和文英訳のテクニックが不可欠なのです。

だから、従来の受験英語は国際人としても英語運用力をつけるにはふさわしくない、などといった”デマ”に振り回されず、しっかりと、同時通訳がやるような英米人が英語を理解するような速読即解のテクニックと、日本人にしかできない構文中心の英文解釈と和文英訳のテクニックという諸刃の刀で、先ずは、受験英語で小手調べをし、更に、更に、国際レベルの英語への道を切り開いていってください。こうすることで、受験英語の意義が高まり、それにより、よりいっそう、合格に向けての受験英語へのモーメントも高まります。

受験の成功だけでなく、皆さんの将来の英語を活かした成功を祈ります。

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