Wednesday, December 23, 2015

年末年末ストレスの大波の中での航海術:前頭葉ー自律神経一連性の図太い神経の舵執りの大波の中での航海術:前頭葉ー自律神経一連性の図太い神経の舵執り

年末といえばやはりストレス。ストレスは大しけの海の大波のようなもの。航海中の船を揺さぶり、思わぬところへと流し込んでしまい、知らぬうちに氷山などへと衝突させかねないような危険性をもはらんでいます。12月の北国の海では穏やかな波という理想的な状態は寧ろ絵に描いた餅同然であるように、この師走の時にストレスのない状態なんていうのは非現実的です。ストレスから逃れられないという現実にある私達は、結局、ストレスと向き合い、ストレスの大しけの師走の時期の海の中で自分という船の舵をうまく執っていかねばなりません。

師走の危ない海を正月という港へ無事到着までの航海術について心理学の観点から。

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アメリカでは11月第3木曜日のサンクスギビングからクリスマス、そして1月1日のニューイヤーズデイまでの、所謂、ホリデーシーズンの期間、私のようなメンタルヘルスの臨床家への相談件数が増え、また、自殺者数もピークとなりがちです。

日本でも、師走といえば、誰もが一年の内で一番忙しい時。アメリカでは一般に、企業や団体の決算期は大抵が六月末ですが、日本では12月末なので、本当にこの時期は、忘年会などのパーティーや付き合いの他、正月を前にした一年間の仕事の総仕上げ、総決算などで猫の手をいくら借りても足らないほど忙殺されがちです。

クリスマスや正月といったホリデーというと、一見、楽しい幸せな家族を連想しがちですが、一方、ホリデーを楽しく一緒に過ごすような家族は”絵に描いた餅”のようなものでしかない人にとって、こうした家族一緒で楽しく過ごす”はず”のシーズンはかえって辛い時となります。しかも、クリスマスショッピング、クリスマスパーティーなどでどたばたしがちなので、ただでさえストレスレベルが高い時期でもあります。そして、ストレスがもたらす様々な心身的な症状に悩まされるようになり、それが更にストレスを高めてしまいます。

仕事であれ、付き合い、パーティーなどといった社交であれ、そして、クリスマスや正月と連想されがちな理想的な家族に対するイメージと現実との食い違いによる複雑な感情などがもたらす高いストレスの状態にいると、交感神経がいつも高ぶってしまい、ちょっとしたことでもいらいらしがちになり、また、普段は気にならないようなことでも思わぬように気に障ることがあります。つまり、交感神経がいつも刺激されストレスレベルが高くその結果血中コルチゾールが高い状態にあると”キレ”やすく、必要以上に外界からの刺激に対して過敏に反応し、更にストレスが高まり、交感神経が一層刺激され、血中コルチゾールいつも高い状態となってしまうという悪循環に陥ります。

ホリデーシーズンは交感神経が過剰的に興奮しがちなので、それだけに、血中のコルチゾールも高くなり、別に高カロリー食を摂っていなくても、体脂肪がつきやすくなり、しかも、このシーズンは何かとパーティーや付き合いなどでついついカロリー摂取オーバーとなってしまい、太りがちです。そして、その結果、自分の体の望まぬ形の変化に対する不満が更なるストレスとなり、血中コルチゾールが高い状態が維持されてしまうというストレスとその弊害による悪循環の泥沼へ引きずり込まれてしまいます。

このような状態では折角のクリスマスや正月も楽しむことができませんね。そして、風邪やインフルエンザが流行する季節でもあり、しかも、ストレスにより免疫力が弱まっていると、病気でダウンしてしまうリスクも高いものとなってしまいます。これでは、ホリデーも台無し。

ストレスは正月に向けたホリデーシーズンにとっての最大の敵です。勿論、ストレスは健康維持に対する大きな妨げでもあります。しかも、こうした楽しむべきホリデーシーズンが一年の内でも一番ストレスという敵と向き合わねばならないのが現実です。
では、いったいどのようにしてストレスという敵に対処し、正月を清々しく迎えられるようにできるのでしょうか?

やはり、ストレスによる弊害の予防と対処にとって一番大切なのは精神的な自己コントロールです。これは、前頭葉の機能を高めることで自律神経の正常な機能、つまり、交感神経と副交感神経のバランスを維持できるようにする自己制御能力を高めることです。そして、これは、風邪などの病気に対する免疫力を高めるという心理免疫学的、心身医学的な効果をももたらします。

自律神経の機能を高めるという防御法は、ダラダラと廻りの状況、外界からの影響に翻弄されないということです。自律神経というのは、文字通り、自ら自分を律する神経というもので、随意によるところが大きいのです。そして、随意機能は一般に前頭葉に集中しており、前頭葉と自律神経の連携プレーシステムが外界や環境からの刺激によって揺さぶられないような、図太い神経を鍛え上げることが大切です。
骨格や筋力が弱い人はいくら視力が良くても思うようにまっすぐに歩くことができません。精神的にいえば、神経の図太さは骨格や筋肉の強さに例えられます。骨格や筋肉の強さを高め維持するには適度な運動が不可欠なように、神経を強くするにも、メンタルトレーニングが大切なのです。そして、こうしたメンタルトレーニングの中枢が前頭葉であり、この前頭葉の機能が効率的であれば交感神経と副交感神経の自律神経のバランスもうまくいき、ストレスレベルの高い環境においても副交感神経が高ぶりがちな交感神経とのバランスを保つように機能するので、前述したような交感神経の一人歩きによるストレスの悪循環に陥ることを防ぐことができるのです。

では、前頭葉と交感神経と副交感神経のバランスを維持できるような自律神経の図太くて強靭な神経システムを鍛え上げ、維持するにはどうすればいいのでしょうか?
別に複雑な理論にそってトレーニングする必要はありません。しかし、理論的には実に単純とはいえその単純な理論の実践が単純ではないのです。

理論的には、禅にある”心頭滅却”といった四字熟語に集約されるような実に単純なものですが、こうした禅の修業が示すように、あれこれと理屈を捏ねながら楽な方法を案ずるより、ただこうした単純な理論を自然に実践できるようにいつも意図的にすごすということです。自分の意思による自己コントロール、つまり、自律神経の訓練といった禅の修業の如く、いちいち意識しなくてもおのずからすべてのことにマインドフルになれるまで意図的に時間をすごす努力をすることに他なりません。仕事にしろ、社交にしろ、要は今なすべきことだけに全力で集中することで、ダラダラと他のことからの影響に引きずりまわされることのリスクを最小限にできます。こうすることで、効率が高まり、行動や時間の使い方の切り替えが外界からの影響に左右されることなく自分の意思のままにできるようになり、その結果、効率的な時間のすごし方ができるだけでく、その必然的な結果としてストレスレベルも相対的に最小限となります。こうすることで、前頭葉と自律神経の連携という図太い神経の舵を執ることができ、師走の時期のストレスで荒波の海でも思うように航海でき、正月という港に無事に碇を降ろすことができ、後悔することなく清々しい気持ちで新年を迎えることができるようになります。

一年の終わりのこのストレスという高波の大しけの海を航海するわけですが、前頭葉と自律神経を太い神経回路で繋ぐことでしっかりと自分の思うように舵を執る事ができ、しかも、自分の信念という羅針盤によって時には真っ暗闇な荒波の海でも無事に航海でき、正月という港へ到着でき、新年という向こう岸でお目出度い時を祝えます。

私達は自分という船の船長であり、その舵執りなのです。ホリデーシーズンの年末のこの時期、海はストレスの大波だけでなく、様々な誘惑といった危険な氷山なども出没し、注意していないと取り舵一杯できず、衝突し、沈没してしまう恐れもありますから。ついつい、誘われるまま飲みすぎ食べすぎ、後悔のうちに様々な心身症の底なし沼に沈めこまれるリスクが高い時ですから。付き合いも大切ですが、皆で一緒に氷山に衝突して沈没というのでは。。。


そういったことがないようにする為にも、しっかりと図太い神経の舵を執ってマインドフルに航海していきましょう。そして、日頃からの航海術の訓練を怠らないようにしましょう。

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