Friday, September 22, 2017

聖霊による日本の教会刷新: 教皇フランシスコからの奨励



教会とは何ですか?そう聞かれるとあなたはどう答えますか?

あそこの角曲がった所にある建物、といったようにでしょうか?

耶蘇という人を拝む人がたむろする所?

いやいや、教会というのは、もともと聖霊に満たされた信者が集い形成するekklesiaというギリシャ語で表現される共同体なのです。接頭語の”ek ”には”~から~へ”というニュアンスがあり、それに続く部分の原型、”kaleo”、には”召集される”といった意味があります。つまり、教会というのは、神によって世の中の様々な所から呼ばれ、集まり、神の下へ、神の王国へと向かう共同体のことなのです。だから、建物なんて本当はどうでもいいのです。人が肝心なのです。そして、そこに集い、それを形成している人達は, 大師匠、というか、主、であるキリストが説いたように、聖霊という命の本質に生きているのです。

生きている細胞の共同体が生体であるように、聖霊に生きている信者が成す教会は必然的に聖霊によって生きているのです。つまり、教会は聖霊なしには教会として存続できないのです。

実は、教会の中には聖霊による刷新運動があります。これは、使徒伝に描かれているように、ペンタコストに生まれた教会がいつも聖霊に満たされているように祈り、勤め、神を賛美し、神に感謝することを常時忘れずに行う運動なのです。そうすることで教会はいつも聖霊を放射しその様々な恵みをもたらす媒体となるのです。そうであってこそ, 私達が成す教会はイエスが言ったように, “地の塩 , 世の光”( マタイ5: 13-16) となるのです

以下において、聖霊による教会刷新運動が今の日本の教会にとっていかに必要不可欠であるかについて、教皇フランシスコが日本の司教達へあてられた親書に基ついて考えてみたいと思います。

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今年(2017年)はカトリック教会内において聖霊による教会刷新運動がはじまってから丁度50周年の節目の年であり、golden jubileeです。よって、教会は地の塩 , 世の光” であるだけでなく, 聖霊に満たされ、泉のように聖霊が吹き出て、それがもたらす様々な恵みの媒体でもあるべきです。そうすることで、様々な聖霊の果実が実るのですから。ところが、今日の日本の教会の現実はどうでしょうか?0を最低値とし100を最高値とするスケールにおいて現在の教会の聖霊満たされ度はどれくらいでしょうか?100ですか?100を超えてますか?それとも。。。。。?

正直言って、あまり理想的なスコアではないようです。ということは、日本の教会にはもっともっと聖霊が必要なのです。そして、聖霊による教会刷新運動の50周年であるので、教会を構成する私達信者は、今改めて日本の教会を聖霊により刷新することに取り組まねばなりません。

実は、教皇フランシスコもそうのようにお考えのようです。

教皇は今年の十字架称賛の日(9月14日)に日本の司教達へ親書を送られています。この親書には教皇の日本の教会に対する強い関心が示され、希望に満ちた励ましの言葉に力付けられます。

特に、聖霊による教会刷新に携わる者が注目したいのが、最後から2番目のパラグラフにおいて教皇は私達の活動を重視されており、日本の司教達に、もっともっと聖霊による教会刷新運動について理解し、支援し、これからの司牧活動に積極的に取り入れていくように奨励されています。

教皇は日本の教会の長所と問題について歴史的なコンテクストを通してよく理解されております。250年以上もの間の迫害を耐え抜いてきた信仰の強靭性という長所を活かすことで、規模の小ささがもたらしかねない困難を乗り越えていけると確信しておられ、それと同時に、もっともっと働き手を増やし成長させていく必要性を改めて指摘されています。そして、こうした課題に日本の教会がより効率的に取り組んでいけるようになる為にこれからはより一層私達が携わる聖霊による教会刷新運動を取り入れていくことが重要であると、主張されているという印象を受けます。

この親書で教皇が明確に指摘されているように、日本の教会が直面する日本の司牧課題は、相対主義や物質主義がもたらす様々な問題にどのように対処するかです。相対主義は、一過性の文化をもたらし、本来は絶対であり永遠に持続するはずの愛を相対化、不確実化してしまいます。そして、この問題は更に、人間関係の希薄化、家族の崩壊、離婚の増加などといった社会問題へとつながります。また、物質主義は、かつての重商主義が産業革命と密接な関係にある資本主義へとつながり現在に至る過程に一貫しているものであり、イエスは私達がこのようなことへ傾倒しない為にも霊的な財産を蓄えるように一生懸命働くことを奨励されました(マタイ6:19-21)。しかし、明治の”文明開化”以来日本にも”富国強兵”政策により欧米のように物質主義が蔓延するようになりました。特に、戦後は本家のイギリスを凌ぐ資本主義国となったアメリカの影響を強く受け、日本の物質主義は”高度経済成長”の名の下でより一層浸透するようになりました。そして、平成初期にバブルが崩壊し、教皇も指摘されているように、貧富の差が高まり、それにより”疎外される人”が増えてきました。 また、このような状況では、生きがいを喪失した、実存的な危機にある人が増え、必然的に、自殺も増えました。これはEmile Durkheim, Viktor Frankl, Paul Tillichなども警告してきた事です。 今、日本の教会は小規模であっても、こうした実に多様で膨大化する社会問題を向き合いながら、それらを一つ一つ克服できるようにならねばならないのです。そして、つまはじきにされても、物質的な財産を失っても、どのような試練にあっても、いつも霊的な財産を蓄えておけるように、Franklがいう生きていることの意義(寅さんの言葉でいえば、”あ~生まれてきてよかったな~”)を誰もが実感できるような共同体として教会は機能していかなくてはなりません。教皇は日本の教会がそうであることを切に望んでおられることがこの親書によってよくわかります。その為に、聖霊による教会刷新運動は非常に重要なので、日本の司教達にもっと積極的に教会刷新運動をこれからの司牧活動に活かしていくことを教皇は勧められているのだといえます。

私達は今、この時をしっかりと掴み取り、司教達に積極的にアプローチし、彼らのよきパートナー、そして、必要に応じて、コンサルタントとして、教会の司牧活動に取り組み、上述したような様々な社会問題を克服していきながら、教会を成長させるようにしなければなりません。この使命は日本の社会、そして、それに聖霊の恵みをもたらすべく日本の教会そのもののQuality of Lifeに関わる非常に重要なものです。

私はシカゴの聖グレゴリーの教会刷新グループで聖書を教えさせていただいてますが、今、使徒伝について学んでいます。というのは、私達の教会の原典はペンタコストであり、それ故、教会というのは本来いつも聖霊に満たされているだけでなく聖霊が泉のように噴出し、それを必要としているところへ送り込むような媒体であることを改めて認識できるからです。こうした本来の教会が維持されなければ教会は衰退していき、やがて、悪魔がすべてを取り仕切るようになるかもしれません。そのような方向へと社会が進むのであれば、家族は完全崩壊、人間は皆自己保存のことばかりしか考えられず、常に何かの争いが起こり、やがて人類は人類自らの手でお互いを殺し合い滅亡するでしょう。そして、教会にも悪魔が忍び込み、その悪霊が浸透し、霊的なガンとなり内部から蝕まれていくようになるかもしれません。確かに、聖母がファティマで示した預言や秋田で示した預言にもこうしたことを思わせるものがありますが、聖母は、そのようなピンチになっても神の恵みの計らいにより私達教会はこのような試練ですら乗り越えていけるであろうと希望のあるメッセージで締めくくっています。また、イエス自身がSt. Maria Faustinaに、”私は神の慈しみそのものであり(i.e. Diary 1074, 1739)、これが救いの為の絶対必要条件である(i.e. Diary 300, 998)”とも明言しています。

イエスの聖なる心臓から噴出す神の慈しみの恩恵が最大限である為に、私達は今までより一層努力し、教会が使徒伝の頃のように聖霊によって満たされ、聖霊の泉のように機能することで、様々な世の中の問題に取り組み克服していき、更に成長していけるようにしなければ成りません。そもそも、聖霊は原動力ですから。これなくして、どうして私達の命の座である魂(anima)は私達がanimateできるようになりましょうか?Anima(魂)と聖霊(Pneuma Hagion)は心肺機能と酸素のような切っても切れない関係にあります。だから、教皇の親書も、司教を通して、私達にこのように励まされているのではないでしょうか。

ご参考までに、教皇の親書のリンクです。まだお読みでなければ、是非お読みください。
https://www.cbcj.catholic.jp/2017/09/14/14598/


1 comment:

  1. 主に賛美
     仲田様

     とてもすばらしいコメントです。米国から日本にこれほどの力強い祈りと知識の支援を受けることができて 感謝します。 ありがとうございます。
    来年シカゴに立ち寄ることができましたら ぜひともお会いしたいと思います。よろしくお願いします。


     畠

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